「灰と幻想のグリムガル」2巻まで読み終えて。原作+アニメ+漫画での印象のちがい。
読み終えました!
「灰と幻想のグリムガル level.2 〜大切じゃないものなんか、ない。〜」
正式名称、長っ!
灰と幻想のグリムガル level.2 大切じゃないものなんか、ない。 (オーバーラップ文庫)
- 作者: 十文字青
- 出版社/メーカー: オーバーラップ
- 発売日: 2013/11/29
- メディア: Kindle版
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ついでにKindleでオススメされたのでコミカライズ版も合わせて買って読みました。
灰と幻想のグリムガル(1) (ガンガンコミックスJOKER)
- 作者: 十文字青,奥橋睦,白井鋭利
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2015/12/22
- メディア: コミック
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れぐるすはアニメ版から入ったクチなので、これで「原作」「アニメ」「漫画」と3種類のストーリー展開を見終わったわけですが、せっかくなのでそれぞれの特徴を比べてみるよっ!
1.原作
原作の特徴を挙げるなら、スローテンポであることでしょうか。
「冒頭で読者に衝撃を与える」ことが鉄則となっている昨今のラノベでは、初っ端から奇天烈なキャラクターが出てきたり非日常な出来事が巻き起こり、そこで読者の期待を鷲掴みにすることが多いかなと思います。
それとはちがって、グリムガルの場合はわりと淡白です。最初はいきなり見知らぬ地「グリムガル」で目覚めたところから始まり、他愛ない会話をしながらゆっくりと主人公たちがどういう状況に置かれ、これからなにをしていけばいいのかが徐々にわかっていくようになっています。
どちらかというとミステリー寄りの手法で、じっくり時間をかけながら、読者は主人公といっしょに手探りで謎を解いていくようなイメージですね。追体験派の読者様にオススメ!
いや、実をいうとれぐるすの場合は最初に原作を買っていたのですが、冒頭のシーンがあまりに冗長すぎて一度投げ出してました。だって、ハルヒロたちの会話が要領をえなかったんだもの…。
ただ、読み終えてからならハッキリ言えます! 原作は尻上がりにどんどん盛り上がっていくスロースターターです! 当時のれぐるすみたいに積み本にしてたらもったいないですよっ!!
とくに、これは原作のほうがより楽しめること請け合いなのが「寄せ集めパーティーがどんどん距離を縮めていく」というリアルな信頼関係です。
ハルヒロたちパーティーは結成当時はまさに最弱で、あぶれ者同士で仕方なく組んだ、みたいなところから始まります。ワオ、まるで修学旅行の班決めみたいデスネ。
だから最初は会話も距離があってぎくしゃくしてるんだけど、頼れるリーダー(しかもイケメン)が中心になってなんとか仲良くやっていけるんですよ。それが途中からリーダー不在になって、まとまりかけていたパーティーがまたバラバラに…といった具合に、相関図があっちにいったりこっちにいったりと大忙しです。
仲良い班でも中心人物が抜けるとこうなるのかー、みたいな妙に人間臭い描写は、活字の丁寧な心理描写あってのもの。こればっかりはどれだけ綺麗な絵や音楽が付いてきても、小説に軍配が上がっちゃいますね。
2.アニメ
対するアニメ版。
初っ端からゴブリンと戦うパーティーの姿が! 原作の流れとおもっきりちがいますやーん!
やっぱりアニメだとタラタラ世界観の説明をするのは土俵が違うというか、いっぺんに読者の関心を引く展開になってますね。こうして比べると、原作がラノベというより一般小説寄りな、ヤングアダルトな雰囲気を目指してるのが伝わってきます。
アニメ版のすごいところは、グリムガルの世界観を説明じゃなくて絵できっちりと押さえているところ!
優しくて幻想的な水彩画風のイラストは、まるで絵本を読んでるみたいですごく心地良いです。それに合わせてケルト民謡風の主題歌やBGMを入れてくるのも憎いね!
れぐるすは先にアニメ版を見てから「なんだよおもしろいじゃん! 積み本にしてるのもう一回読んでみよ」と興味を持ち始めたので、やっぱりぱっと見で世界観が伝わるアニメってやつはずるい。
小説だと必死こいて何ページにも及ぶ文章を書いて書いて書いて、それでも読者には伝わらない。試合終了! むしろ不戦敗!という感じなのに。
それがアニメだと絵と音楽とセリフで2〜3分もあれば誰にでも等しく伝わるもんなあ。これをズルと言わずしてなんと言おうか。
ごめんなさい、つい物書きとして小説を読ん贔屓になってました。
いや、とにかく妬みで見るくらいすごい完成度なんですって! 全部の要素が調和している感がすごい! 気になる人はこんなページなんてとっとと閉じて、ニコニコ動画を開けばいいと思うよっ!
3.漫画
最後はコミカライズ版です!
こちらは結構大胆なアレンジを加えてるな、という印象。
端的にいうと「キャラ萌え」に力入れてる感が。
主人公ハルヒロはもともとが引っ込み思案でとにかく周りに気を使うタイプなんだけれど、漫画版ではなんというか、すごくヒロインみたいになっとる! 引っ込み思案というかただモジモジして女々しい子だよコレ。
逆にランタはウザキャラのはずなのに、訳ありパーティーに囲まれた苦労人みたいに見える…ランタのくせに。
ただ、コミカルタッチにしているのは全般だけで、ゴブリンと戦うことになる後半ではかなりシリアスになってます。
あとグロ。主にゴブリンが。生きるのに必死な感じというか、寄ってたかっていじめてる光景にしか見えぬ…。それくらいグロ可哀想。
同じ作品のはずなのに、表現の仕方でこんなに印象ってガラッと変わるのか…
とくにマンガ版だけベクトルがちがうというか、だいぶ作者さんの好みにアレンジされてるのかなーと思って読み終えました。
さて、原作2巻ではハルヒロがパーティーを引っ張ることになってあーでもないこーでもないと苦悩する内容になってます。そして、終盤では漢をみせる…!
やっぱり地道でも一歩ずつ前進する主人公ってみてて気持ちがいいですよね。ひさびさにハルヒロは応援したくなるタイプの主人公だー。
本当はネタバレなこともいろいろ語りたいところですが、ここではネタバレは極力避けると決めております。なので、興味を持った方はアマゾンでポチってください。それかニコニコ動画なら毎週無料やで!
それではー。