Kindle三昧

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ラノベ「灰と幻想のグリムガル」10巻はセトラさんのターン! …いや、やっぱりメリイさんの正妻力高すぎるな…

 

ラノベ「グリムガル」最新刊! やっと10巻読めたー!


前回でランタの問題とかセトラさんが出てきてこじれたりとか大きく話が動きましたが、今回もやっぱり大波乱が続きます。一向に休まるひまがないっ!
そして…今回では10巻のあらすじにもあるのですが、冒頭からキーマン登場。このおっちゃん、なにやらグリムガルの真相をご存知の様子…? しかも、グリムガル以前のこともおぼろげながら知っているようで。


これはいよいよ、グリムガルも終幕に向かって動き出したってことなのかな。
作者さん、べつの新作も引っさげて忙しそうですもんね。まだ1巻しか出てないからもうちょっと様子見しようと思ってるんだけど、同作者さんの「魔法使いと僕」もぜひぜひ読んでみたいんだよなー。口コミだとまだまだ序章だから大きく話が動かないとかっていうことなので、そのせいで手が出せてないのであった…続刊が出てから一気読みしたいです。

 


◆ 「ハルヒロって、地味にモテるよね」セトラさんが押して押して押しまくる。


前回、ハルヒロたちに助力する代わりにハルヒロを言いなりにさせてえっちぃことを強要しようと目論むセトラさん!
…かどうかはわかんないけれど。いや、あながちまちがってもない、かも…? ことあるごとに子作りばっかり言ってるし。今回ではハルヒロくんの耳をイタダキマスしてるし。しかも挿絵にまで反映されてるって、おいおいおい待ちなさいよセトラさんっ! 愛情表現が嗜虐的すぎますって!

 

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「じつは心配だったんだ。本当はおまえに嫌われているんじゃないかと

いくらなんでも、やばいんじゃないの? これは、突き飛ばしたほうが……?

せっかく甘ったるい魅惑の言葉をかけてくれているのに、ハルヒロくんてば最低である。「突き飛ばしたほうが……」ってその判断それはそれでどーかと思うよ!

 

「すまない 」セトラはすっと身を引いた。顔が真っ赤になっている 。

「……自分でもよくわからないが、嚙みつきたくなった。人は発情すると、何をするかわからんようだな 」

ブコメ! ラブでコメな展開、ばんざい! だが、やってることは耳をかじっている。こんなラブコメがあってたまるもんですか。

 

前回でハルヒロくんを服従させる態度があんまりにあんまりだったもんでメリイさん派のぼくとしては「ゆるさん!ゆるさんぞ泥棒猫!」状態だったのですが、ここまで押しまくるセトラさんには一周回って好感が持てますね。正直、耳をかじったあたりがおもしろすぎてそれで今までのこと全部ゆるせるよね。いや、ゆるすもゆるさないもないけれどさ。

 

 火に油を注ぐ役のクザクくんもいい感じに空気読めてなくておもしろかった。

 

「……ハルヒロって、地味にもてるよね 」

クザクはわけのわからないことをほざいている。ユメはなぜ、うんうんとうなずいているのか。

「もてるだと?」と、セトラがクザクを睨みつけた 。

「どういうことだ? ハルには私以外にも女がいるのか?」

「あ、いやあ、前にハルヒロを好きだって人がいて、別のパ ーティの人なんだけど……」

「何だとぉ……?」

「みもりんなあ 」ユメは腕組みをして片方のほっぺたを膨らませた 。

 

クザクくん空気読んでくださいっ!

いや、ちがうのだ。彼はわりと空気読めるほうなのだ。ただし、空気が読めるからといって空気を読むとは限らないのであった…ぜったい面白がってるでしょコレ。「メリイが他の男と付き合うとしたらそれはハルヒロがいい」とかぬかしてる男の言うことじゃないよっ! どの口がっ、どの口がっ!

 

セトラさんもさすがにおかんむりですが、「まあわたしが恋慕するような男だし、不思議じゃないか…」と妙に腑に落ちてるみたい。このセリフ言ってるときのちょっとドヤ顔入ってるのが目に浮かびます。

 

 

◆ メリイさんのヒロイン力の前には、だが届かないーー

 

セトラがハルヒロを独り占めしようとするからだ。

ハルヒロはみんなのリ ーダ ーだし、言ってみれば 、ーーそう、ハルヒロはみんなのものなのだ。もの、という言い方は変かもしれないけれど、独占されては困る。

そもそも、セトラはパ ーティの一員じゃないわけだし、そうはいっても、セトラとは一緒に死線を越えてきた。戦友のようなものだ。

 

もう大丈夫だから、とセトラに言ってあげたい。あなたの恋人は、こんなことでいなくなったりしないから。

ーーわたしが、させないから。

 

これです。

セトラさんが一転攻勢をかけてきて「おっ、これはさすがのメリイさんでも今巻ばかりはセトラさんに軍配があがるかな?」と思ってたら、これですよ。

「あなたの恋人はこんなことでいなくなったりしない」「わたしがさせないから」の破壊力。前半でむくれたような態度のあとにメリイさんらしいいつもの凜とした態度を見せるの、すごくイイよね…

なんだかんだいってセトラさんのこと認め始めてるあたりも感慨深いです。読んでて「おおっメリイさん…!」て涙腺も頬も緩ませてもらいました。

 

やっぱりメリイさんて恋愛至上主義じゃないというか、どっちかというと女の子同士の友情を優先しそうなところありますもんね。「戦友」って評価、たぶんメリイさん的にはだいぶ高い位置にあるはず。

 

 

……ただ、まあ。その、なんていいますか。

ぼくの口からは多くを語らないんだけれど、今回はね、そう、うん。メリイさん的にはかなり、やばいです。修羅場です。もうこれは10巻のラストを読んでショックを受けてほしいかなって思います。ぼくのこの気持ち、一緒に共有してほしいな。うおおおっメリイさーーーんっ!

 

 

◆ 今回のハルくんピックアップ!

 

ぼくが好きなハルヒロくんのカッコいいお言葉をよりぬきしましょうそうしましょう。

 

「おれが死んだせいで全滅するより、おれが生き残って一人でも死なせないほうがリーダーとして正しい。セトラが言ってるのはそういうことだろ。
頭ではわかるけど、いざそんな状況になったら、おれはたぶん、自分よりみんなの命を優先する 」


「できるだけ正しい判断をしたいって思ってるよ。
ただ、おれはおれとして生きるしかなくて、別人にはなれない。
おれはこういうやつだけど、よければ信じて欲しいって、仲間に言うことはできる。でも、信じてもらうために、おれじゃない、違うもののふりをするのって、なんかずるいだろ。
何よりも大事な命を預けあうんだからさ。
おれは仲間に噓をつきたくない。
つけないし

 

セトラさんにたしなめられた時のハルヒロくんの切り返し。自分なりのリーダー論を述べるハルヒロくん、ほんとに成長したな、って。このグズグスと理屈をこねくりまわすセリフ、ぼくかなり好きです。

 

自意識が低いのは変わらずなんだけれど、自分の有用性は正しく理解してて、でもやっぱり仲間のためにはその一切を犠牲にしてでもみんなを救いたいって死を受け入れちゃう。

究極的には「みんなの傷つくところは見たくない」っていう我が身可愛さあってのことなんだけれど。真っ先に自分を投げ出していける姿に、みんなもそれこそ前巻で言ってたけれど「やれやれ、しょーがないから支えてやりますか」みたいな気持ちになるんだろうなあ。

 

人に文句つけられても自分のやり方を堂々といえるようになったハルヒロくん。まだまだこの先を、このパーティーの行く末を見ていたいなあと思っちゃいます。