Kindle三昧

小説とか漫画とかアニメとか。隠れた良作の楽しみ方を探求するブログです。

物語の世界に浸ろう 〜 「盾の勇者の成り上がり」よりヒロイン・ラフタリアちゃんの健気な台詞を引用します。

 

ラノベ「盾の勇者の成り上がり」より。

 

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なろう小説出身のラノベ「盾の勇者の成り上がり」


この作品は、せっかく異世界転生を果たしたというのに世界の疎まれ者となってしまう主人公・ナオフミくんがコテンパンにされながらも心を開いていく物語。

ぼくが初めて読んだなろう系作品でもあったので、個人的には非常に思い出深いです。「あ、ラノベってこんなに主人公がコテンパンにされてもいいんだ」と。


世間的にはわりと「なろう小説=俺ツエー」というテンプレで認知されてるようですが、ぼくの中ではどっちかというと「主人公が酷い目に遭う」という認識でした。それもこれも、この「盾の勇者の成り上がり」という作品のせいです。

 

近年ではなろう出身の作品が軒並みアニメ化されてきているので、これもアニメ化したら大成するんじゃないかなーと勝手に妄想してウフフしてます。

というのが、「盾の勇者の成り上がり」というやつは皮肉なことに小説でありながら、どっちかというと小説映えしない作品だから、という理由が大きいです。

たぶん作者さんの頭の中で映像が流れてるんだろうなあと匂わせる構成なんですが、わりと地の文はあっさりめ。情景や心情の描写よりも、会話劇が中心なんです。

ぼくが本格的におもしろい!と思うようになったのも、この作品がコミカライズされたことがきっかけです。このコミカライズ、本当に丁寧で素晴らしいんですよ。

 

 

さてさて。前置きが長くなりましたが、本作の魅力を伝えつつ、ぼくがグッときた台詞を引用させていただきますね。

 

 ◆ 原作 第1巻 / 漫画版 第2巻より抜粋

 

オフミのもとに、勇者仲間の「槍の勇者」がやってきて一悶着あるシーンです。 

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ヒロイン・ラフタリアちゃんの境遇を知り、ナオフミくんに激昂する「槍の勇者」 

…まあ普通ならナオフミくんが糾弾されても仕方ないのですが、そこはナオフミくんとラフタリアちゃんの間には共依存な深い深い関係があるのでした。良かれと思っても、そこのところを知らない他人が首を突っ込むのは野暮というもの。

 

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しかし「槍の勇者」も引っ込みがつかなくなり、大衆の前でナオフミに制裁を加えます。ここで多くの読者は胸の中がざわざわするような嫌悪感を味わったことでしょう。そろそろナオフミくん、幸せにしてあげてよう…

 

その後の顛末で、ラフタリアちゃんの言葉が突き刺さります。

 

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「あなたは 病を患った小汚ない奴隷に 手を差し伸べることができますか?

 

オフミさまは 私にキチンとした食事と 病に効く薬を与えてくださいました
……貴重なお金や素材で

 

あなたに それができますか?」

 

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「なら あなたの隣には

私でない "奴隷"がいるハズです」

 

 自らを豪華な鎧で着飾り、旅の仲間に美女をはべらせる「槍の勇者」にはズバッと鋭く刺さる一言。綺麗事を並べる前に、市井であふれてる奴隷たちに手を差し伸べなさいよ、と。

自分の恥ずかしい身の上を晒してまで、ナオフミくんや奴隷たちを想った言葉を大衆に投げかけます。

 

ラフタリアちゃん、健気な子。天使や……

 

 

けっこうラフタリアちゃんは「奴隷出身」であることにコンプレックスを抱いているのもあってか、ナオフミくんにはいろんな意味で憧れを持っているのも魅力的なポイント。日本のテーブルマナーで何気なく食事するナオフミくんに「見てください! 私もナオフミさまのような食事のマナー覚えたんですよ!」と自慢してくるような子です。

こーゆーナオフミくんラブなのを隠さないところもいっそ清々しいですね。

 

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 ナオフミくんが異世界で唯一の拠り所としているのも納得ですよね。……まあ、ナオフミくんはいつまでもラフタリアちゃんのこと娘みたいに思ってるけれど。

 

 

もひとつ。一連のシーンで好きなところが。同じくラフタリアちゃんの台詞です。

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「逆らえない奴隷しか信じられませんか?
なら これから私たちが出会ったあの場所へ行って呪いをかけてください


私は何があろうとも ナオフミさまを信じております


どうか、信じてください。私は、ナオフミさまが何も罪を犯していないと確信しています。
貴重な薬を分け与え、私の命を救い、生きる術と戦い方を教えてくださった 偉大なる盾の勇者さま……」

 

※ 文章は原作より引用しております。台詞のニュアンスが、個人的に原作のほうが好きだったもので…

 

 

「偉大なる盾の勇者さま」のフレーズはナオフミの境遇を想うと泣けます。ナオフミくん、誰かを庇うことだけが本当に唯一の戦い方だからなあ……自分の行ないを認められることでどれだけ救われることか。