Kindle三昧

小説とか漫画とかアニメとか。隠れた良作の楽しみ方を探求するブログです。

「灰と幻想のグリムガル」1巻を読了した。ぼくは「MOTHER」というゲームに想いを馳せた。

ラノベ灰と幻想のグリムガル」1巻を読み終わりました。久々に胸が熱くなっていっこうに興奮冷めやらぬので、衝動のまま筆をとります。いや、iPhoneのキーボードなんだけれど。



まず「灰と幻想のグリムガル」とはなんぞやって方のために。

簡単なあらすじは、見知らぬ異世界で目覚めた主人公のハルヒロたちが義勇軍としてモンスターと戦うことを余儀なくされ、同じ境遇の人々とチームを作って生き抜いていきます。ただし、もとが一般人の彼らはいっちばん弱いはずのゴブリン1匹さえも6人がかりで倒すのがやっとで、日銭を稼ぐことすらままならない、明日はどうしよう、と暗中模索していく様子が物語の一番の肝でしょうか。

右も左もわからない少年少女たちが自分たちだけで生きていくって、こういうことだよね、といったリアル感がそこには広がっています。ああ、外国の紛争地域の子供たちって、こうやって暮らしてるのかな、とも考えを巡らせてしまいますね。きっと、もっともっと辛いんだろうけれど。



作者さんのあとがきによると、やっぱりというか、ファンタジー世界の家庭用RPGゲームやオンラインゲームに強い影響を受けているようです。

やっぱりな、とれぐるすは思いこそしましたが、私事ながら、作者さんのプレイしてきたゲームは実際にプレイしてきたことがないのでたぶん作者さんの境遇と心情を全部把握することは無理だろうと思います。



なので、ここからはぼくが読んでて思った、あくまでもぼくの思い出話になっとります。



れぐるすが小学生当時にやっていて衝撃だったゲームがあります。「MOTHER」というRPGです。そう、今でこそ任天堂のビッグネームとして有名な「スマブラ」にも出演してるネスくんの代表作ですね。ぴーけーふわぃやー!ぴーけーすゎんだー!とかのあのネスくんですね。ここまで言って知らないって人はスマブラを実際に買ってプレイしてください。できればWii Uのやつを。そして願わくば飽きた頃にれぐるすに譲ってください。お願い、Wii U本体は自分でなんとか買いますからおねがいしますやめて蹴らないで。



=軌道修正=



なにが衝撃だったかというと、すごく世界観が現代風なのです。現代っていっても、アメリカンテイストなので80年代アメリカ風といったほうが正しいのだろうけれど。当時…いや、今ですら真新しいように思うけれど、常にモブキャラですらキャラクターの生活感が漂うようといいますか。ゲームの世界でありながら、そのリアル感をひじょーに、ひじょーに大事にしていた名作だったのですよ。

灰と幻想のグリムガル」を読んだ時にまず共通点として思いついたのが、れぐるすの体験上では「MOTHER」だったというわけです。



「グリムガル」ではストーリーを大事にするというよりは、まずは「RPGのように戦士になることを強要された少年少女たち」という世界観に放り込んで、じゃあこの異世界で彼らはどうやって毎日食いつないでいくの?っていうのをよりリアルに、克明に描き出しているのです。

とにかく金目の物を持ったモンスターを探しに森へ行く…が、ただの野生動物にやられてヒイヒイいいながら引き返す、みたいな。

この設定は、「MOTHER」にも共通しています。いきなり敵として襲いかかってくるモンスターたち。さあ、少年ネスはどうする?ママを守らなくちゃ。そうやってひょんなことから戦いに身を投じていく…といった具合。でもとりあえず、身近な武器は野球のバットだし、アイテムはハンバーガーだよね、みたいな。敵はポリスマンだし大人だし、そりゃ子供はヒイヒイ言いながら逃げるよね、みたいな。



中世風異世界と、アメリカ風異世界というのでまったくテイストは別物ですが、こういう昔懐かしの「物語の読み手聞き手がそこに寄り添っているような世界観」というのが、共通点なのかとそうぼくは感じます。

それってつまり、その世界にあるどんなしょうもないことでも描き出す、っていうある意味での作品に対しての誠実さだとか手の抜かりなさだと思うのです。



まあ、乱暴に一括りにしてしまうと、「設定厨」ってことなんですけれど。

そこに誠意を感じるからこそ、ぼくはこの愛すべき「設定厨」の作品たちを求めてやまないのです。たとえどれだけ高尚なテーマや奇想天外な物語展開を扱っていたとしても、世の中の過半数が「この作品のほうが絶対おもしれーよ!」と指摘したとしても、こればっかりはれぐるすの中で不動の最上位条件としてあり続けるでしょう。

ゲームを愛する者なら、必ず憧れる!それすなわち「設定厨」! 設定厨に映えあれ!



ちなみに、「グリムガル」はちょっと日常系にしては重たすぎ…って方には、過去にレビューした「フェアリーテイルクロニクル」の一読をおすすめいたします。