物語の世界に浸ろう 〜 ファンタジー童話漫画「魔法使いの嫁」からぼく好みの文章を引用する。
◆ 「魔法使いの嫁」より。
漫画「魔法使いの嫁」は魔法使いエリアスとの旅を描いたファンタジー漫画。
童話チックな雰囲気と詩的な言葉のチョイスが絶妙です。すごく壮大ななにかが幕を開けるわけではないんだけれど、ずっと浸っていたくなるような世界観。たぶん、この作品で語られる世界が目の前に広がるようで、小さなリアルがそこにあるからそう感じるんだと思います。
この世界における「魔法使い」は、裏世界で生きる隠遁者。だから、タイトルの「嫁」から感じ取れる「ゆるふわなラブコメ」を想像して読み進めると、その思ったよりダークな雰囲気にびっくりしちゃうかも。第一、主人公のチセちゃんが奴隷っていう背景がありますし…
ただ、ダークファンタジーとジャンル分けするにはちょっとだけちがう気がするんだよなあ。うん、やっぱり童話って括ってしまうのが一番しっくりくる気がします。
こーゆー陽だまりのようなあったかいエピソードも多いです。チセの生い立ちに暗いところがあるぶん、こんな救いのあるシーンには思わず胸のあたりがザワザワってなる。ゆるやかにあったかい気持ちになる感じ。
◆ 単行本 第2巻より
さてさて、ぼくが好きなセリフはこちら。
魔法使いエリアスと、お嫁さんのロリ チセちゃんが本音を少しだけ交わせるシーン。
「ーー僕は 人間でも 妖精や精霊でもない 半端者でね
永く永く生きて とても沢山の人間を見てきたけれど
やはり 僕にはわからないんだ
彼らの…… 君たちのことが
考えを理解はできる でも共感はできない
君らが泣き 怒り 笑う理由は知れても
自分のものにはできない」
「君を買ったのも 条件がよかった ……それだけだ
何も持たず
人間でない僕から 離れられない子だったから
君が欲しがるだろうなって言葉をかけて
寝床も 食事も 知識も与えて
気にかけて 自分で育てたらなにかがわかるんじゃないかと思った」
「そうだ この記憶がいらないなら壊してあげるよ!
僕は浄化だのは苦手だけどこういうのは得意ーー」
「そんなに 怖がらなくてもいいんです」
貴方が要らないというまで
「私は 貴方のーー そばに……」
奴隷としてエリアスに買われたチセちゃんが、珍しく狼狽えるエリアスに投げかけるセリフ。
エリアスを安心させる甘い言葉なんだけれど、チセちゃんがどっぷりエリアスに依存してるのが伝わってくる印象深いセリフ。擬似家族としての2人の在り方がよくわかります。
また似たシーンなんだけど、チセちゃんの家族観が垣間見れるセリフはよく印象に残ります。
「たとえ 嘘でも
私を家族と言ったのはエリアスだけ」
「まほよめ」は夫婦の話かと思いきや家族の話として語られるほうが良シーン多い気がしますね。
そういえば「まほよめ」は2017年10月からテレビアニメ化されるとの情報が。
前は劇場版だったかな…? 一度アニメになってましたね。ぼくは残念ながら見られなかったから詳しくないのです。
これから毎週テレビで追う楽しみができるのか…うん、いいことだ…とてもいいものだ。
チセちゃんの声優さんが早見沙織さんだったのはちょっと大人びすぎな気もしたけれど、テレビ版の時も同じようになるのかしら。
前に劇場版のPVで見聞きしたかぎりは、エリアスの声優さんはごっさカッコよかったの覚えてます。「キミ」とか「ボク」とかいう人外系紳士、イイよね…!